○十話

庭のとびらをあけましょう

いすといすが芝生の上でむきあって会話をしている後ろには もうひとつのとびらがありました
夢のなかで黒いくもがいいました
「入ってはいけないよ」
けれどもとびらが
「どうぞ」とさそいます

重たいとびらをおしあけました
空気は冷たい風になって頬をさわる
草は濡れてもたげた頭で足をこする
石は湿った地面にひっそりたたずんでなにもしない
魂の靄が漂う墓地に花あかりがともされて
花びらたちは骨のリズムで蝶のように宙を舞う
天国へいってしまった人たちとつかのまの魂の饗宴をくりひろげる

庭のとびらはだからしめましょう