蜂のこと その4

●何万匹の羽音

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冬に向かう時期は、みつばちも活動をあまりしなくなるので木箱は1段にしておくそうです。暖かい時期になると2段3段と重ねて飼育をするのです。はち箱を置く位置は厳密で50cmでも後方に動かしてしまうとみつばちは帰るべき巣箱に迷うのだそうです。みつばちは太陽、巣箱、蜜源の位置関係を角度で把握し、蜜源までの距離を尾を振るわせる震動のヘルツで測っているのだと説明してくれました。1973年にノーベル賞を受賞したドイツのカール・フォン・フリッシュ博士の20年に渡る「8の字ダンス」の研究を調べて詳しく勉強してごらんなさいと言われました。
巣枠をそっともちあげて取り出してくれるとそこにはびっしりと何万匹もの蜂がうごめいています。
「みつばちはいやなことをして苛立たせない限りは刺さないですから。でもこういう時は万が一ということもあります。」といわれているのもうわの空、わたしは羽音と無数のみつばちに囲まれている幸福感に一気に満たされてしまったのです。近づいてしばらくの時間みつばちの動きを見ていました。
「しかし、あなた変わってるねぇ。こんなの見て普通はみんな気持ち悪いと大騒ぎするのに、全然平気だね。」といわれました。以前に映像で見ていた時は、きっとあの密集したみつばちにわたしは弱いだろうと思っていましたが、実際はまるで違う自分の行動と反応にわたし自身でさえ驚いてしまいました。噴煙とみつばちや巣から立ちこめるほのかな蜜蝋のかおりが気持ちを穏やかにしてくれました。
先日『ミツバチと暮らす四季』(スー・ハベル/晶文社)の冒頭に「誰もがミツバチの巣箱を二つか三つ持つべきだと思う。」とあると書きましたが、ほんの少しだけこの書き出しの意味がわかるような気がしてきました。