蜂のこと その29

●しびれる森の蜜

蜜の獲得には養蜂をして蜂蜜を採蜜する方法と、蜂蜜猟をする方法があります。
岩手の川井村の方がヤマバチの話しをしてくださった時、「ハチミツの精」の話しがすぐに浮かびあがってきたのです。
なんでも、ある方が山に入って蜜を見つけ、それを口にするとしびれるという話しだったのです。だから森で見つけた蜜はその場では食べないというのです。
中南米の伝説の話はいい伝えなどによくあるように、少し教訓めいています。でも、もうひとつわたしが空想を思いめぐらすのは、蜜酒で酔うということです。蜜酒はヨーロッパなどで飲まれるものではあるものの、この酔いと、川井の方が体験されたしびれに連鎖するものがあるように思えたりしてしかたがありません。
一方、確かにしびれを催す有毒な花からの蜜がまざるという説も聞いたことはありますが、科学的にどうしたという立証より、靄に包まれたような奥深い森の中にしたたる黄金色の蜜と酔いは人間の奥底の深層心理をつく幻想的な話しだと思うのです。

あまり踏み込みすぎないでおきたい世界かもしれません。