蜂のこと その27

●岩手県『川井の民話』から

遠野市立博物館の宇野理恵子はハチに関する俗信についても書いていました。「蜂が家の中に巣をつくると縁起がいい」と思われていることがあるようです。これを読んだら川井村北上民俗資料館で購入した『川井の民話』の中にそれに類似するような話しがあったので、ここに付け加えておこうと思います。

「はちの巣むご御用」

おじいさんと、おばあさんと、1人息子があった。けれどもその息子はお酒や博打を
やって家も屋敷もなくしてしまった。それから家もないことだしと歩きはじめた。歩いたところに木があってそこに蜂の巣があった。ところが、子どもたちが、それを石で打って捕ろうとしていたところだった。そこで、この息子が、この巣を売ってくれと頼んだ。昔のお金で一厘で買った。そしてまたしばらく行くと家があった。「むこ御用」と書いてあったのでむこになろうと家に寄った。
「後ろの山の杉の木が何本あるか数えて来たら、むこにしてやろう」
そこで行ってみたが、さてどうして数えていいのか途方にくれていると、蜂が飛んで来て「三億三万三千三百三本、ブーン、ブーン」と羽音をたてている。
それで、だんなに「三億三万三千三百三本だ」と応えるとむこにしてくれた。
そうして孫もでき男の子ができてお祝いをしたそうだ。その家はだんだん蜂の巣のように年々よくなって、財産持ちになったそうな...。蜂は吉相なもんだ。そのうち長者どのになって孫末代住んだと。
『川井の民話』からの要約

採蜜のことはまたいずれ書きます。