蜂のこと その18

●外来種と養蜂

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「蜂のこと その1」から書いてきて、いよいよ18番目になりました。そして、そろそろ1日養蜂園でわたしが過ごした記録も終わろうとしています。たった1日の出来事でしたがこんなにたくさんの事を教えてもらったなんて思いもしませんでした。そう考えてみると、毎日わたしが何かを吸収する量は膨大だなぁと思いますし、だから、時々溢れてしまうのかもしれないなと思います。仕方ない、そういう自分と付き合っていかなければならないのは確かですから。
養蜂家とは、最後の方で外来種ということについて話したりしました。最近は、魚、植物、昆虫など、外来種に対してあまり好意的ではない話しをたくさん聞くと思います。
海外渡航が当たり前の時代となった今、これを制限しても、もはやそれはほとんど無効に等しい状態です。それに関してどうしろということを私はここで論じるつもりはありません。ただ、こういう事実が私たちの見えないところで起こっているということを、わたしも含めて自覚しなければならないとは思っています。
みつばちで一番に影響するのは花蜜を集める花の種類です。「自然というのにはね、やっぱり、そのものの法というのがあるんですよ。外来種の植物がどんどん増えることによって、みつばちにも狂いが生じます。どういうことかというと、花はね、花によってまず蜜を出す時間が違うんです。それから、蜜をためている部分のたまる深さも違うのです。在来種と外来種でそれが違うと、みつばちにも混乱が起きます。やがて、蜜がとれなくなるかもしれない」養蜂家ははっきりとはいいませんでしたが、守って行くべきものがあること、自然は本来のままにしておくべき理由がどんなに小さなことにでもあるということを教えてくれたように思います。
2003年の秋は、猛暑の影響で、熊が人里に降りて来たことが話題になりました。これについて、養蜂家は興味深い見解を話してくれました。
「ニュースやなんかでは、猛暑の影響だと言ってるでしょ。蜂を飼ってる人はね、みんな分かってるんですよ。それだけじゃない。外来種の昆虫類がどの山にも加速的に増えていてね、樹木を荒らしたり、森林の生態系を変えていってるんですよ。だからね、熊なんかの食べるものも減って来ている。そういうことを本当はわかっているくせに、公には公表をしていないんです。でも蜂屋さんはね、蜂といるといろんなことがわかるから、自然界で何が起きてるかも、予測がついたりするもんなんです。大変なことになりますよ」
養蜂で使われるみつばちは家畜です。その多くは海外市場で売り買いをされて届けられるものです。皮肉なことにこの外来種のみつばちが、日本では野生化しにくい理由に、スズメバチとの関係があります。スズメバチが天敵であるために、こうして家畜として飼うことができるのです。
みつばちは人間が世話をちゃんとしなければ、飼えません。それを飼うことで、みつばちが媒介をしてくれて人は自然とつながっていることがわかるようになります。小さなみつばちに秘められた重力との関係、構造、メカニズム、自然的観測は計り知れない知恵の結晶でもあり、ただひたすら繰り返しの労働でもあるのです。
養蜂家からアリストテレスの動物誌を読むように勧められました。私は、動物誌やファーブル昆虫記全巻、その他にもH・W・ベイツの『アマゾン河の博物者』など本をかかえて、これから生きている間の時間を蜂のことをテーマに学んで行きたいと考えています。