« 赤かぶのスープ | « Go to main page | ミクロコスモス »

2008年01月21日

ちえの木の実

絵本のことってどのぐらい自分は知っているんだろう。子どもの時にたくさん読んでもらって、自分でも読むようになって、小さな親戚ができると今度は人に読んであげて。短大生になって絵本の勉強をしたり、自分でつくったり、お話を覚えたり、子どもたちにお話したり……。それからしばらく休息をおいた。
その し ば ら く の間にいろんなことを人から教えられたり、感じたり、想ったり、考えたりした。
今、また絵本を見ると新しく感じることや刺激を受けることがたくさんある。神話の構造や時代背景、精神論がちょっとだけ見えるようになると作者のことが気になるようになる。もう一度、いろいろな価値観をぬぐい去ってゼロから絵本を今の等身大の感性で読んでみたいし出会ってみたいと思っている。そんなきっかけをつくってくれた大きな人に感謝。
渋谷にちえの木の実という絵本専門店がある。昔は童話屋が大好きで通っていたのに、なくなってしまいそれ以来ちえの木の実に立ち寄ることがある。今日もお店に行ってゆっくり絵本を見ていたら、とてもお年をめしたおじいさんが入って来た。店員さんは顔見知りのようで、いわさきちひろの絵本を何冊も木のテーブルに持ってきてあげて「どうぞゆっくりご覧ください。」と静かに声をかけていた。おじいさんはそのとおりゆっくりと丁寧に絵本の頁をめくるのだった。
なんでもない日常のこうした小さな出会いと親切なやりとりに心がとても穏やかになった。日頃、仕事先ではいい顔もしていられない現実が多々ある。淡白な態度で対処していかなければならないこともある。それは自分の気持ちに反する行為でありながらも、自分が倒れないためにするのだと思う。そういう姿はあまり好きではないけれど、どこかで仕事とわりきっているからなのだ。本来のわたしをとりもどしたいなら、会社という組織集団からはやっぱり身をひかなければだめなのかなとこのごろ思ったりもする。
自分の好きな世界にすっと入れる子どものような心をとりもどしたいな。そしておじいさんのようにテーブルでいつまでも絵本の頁をめくっていたい。

posted: mitsubako at <23:16PM>