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2007年02月20日

クリスティーネ回想

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雨降りの日曜の朝、新幹線に乗った。
たった30分ほどの乗車区間でも、旅気分になるから嬉しい。
熱海駅で降りた。2月の寒い時期でも駅前は人でごったがえしている。熱海特有の蒸したにおいと蒸気が沸き立っている。駅のはずれにある桜はもう花が咲いていて、メジロがたくさん蜜をすいに集まっている。花びらの桃色と羽の緑色が鮮やかで、立ち止まって上を見上げていると雑音がなにも耳に入らなくなる。
駅から徒歩10分。急勾配の坂を登って、左階段を降りたところに旧日向邸がある。タウトが建築を手がけた唯一の部屋として重要文化財に指定されたらしい。本当の目的地は三島のヴァンジ彫刻庭園美術館だった。どうせ三島まで行くならと、前から一度は訪ねておきたかった旧日向邸もと調べてみたのだった。ワタリウムで展覧会が催されていることも知らずに。
それから、三島へ向かった。古屋誠一展"Aus den Fungen"を見るために。
ポスターやフライヤーで亡き妻クリスティーネの少女のような写真がとても気になっていた。長靴をはいて、首からカメラをさげている彼女がとても愛おしいく思えたからだ。わたしが、懐古するわけもないのに、フライヤーを見た時そういう思いがこみ上げた。わたしも今日は長靴姿で、彼女の写真の前に立つ。
古屋誠一を知ったのは、だいぶ前になる。友だちの勧めでちょっとしたバイトをもらったのがデジャブの雑誌だった。たったそれだけのきっかけが、たまたま美術館の図書館でひと目ぼれした写真の少女の夫で写真家だった。こういう奇妙な偶然は大事にしておきたい。だから足を運んでみることにした。
写真展会場を2周した。1周目は写真を見て、2周目は回想をしながら。
それから、外庭に出た。冬枯れの芝に結婚式跡のブーケのかけらが落ちていた。それからどんよりと濁った池の排水溝を眺めていた。常緑樹の葉が吸口に引き寄せられて管に入れず入口をふさいでいた。お墓だと思った。久しぶりにデジタルカメラを向けて撮ってみた。

posted: mitsubako at <06:35AM>

comments:

海底の遺跡を観ているようです…。

posted: masa on 2007年02月20日 21:45

masaさん
こんにちは。このすぐそばの枯れ芝に散るバラの花びら、そしてこの池。誰もいない美術館の庭園は空想と回想にはぴったりでした。

posted: mistubako on 2007年02月24日 19:09

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