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2007年10月20日

いとおしい時間

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仕事でよく池尻大橋へ行く。地下鉄から地上へ上がるとすぐに高速道路と246が走っている。脇道に入っていくとそこは意外にも静かで、昔ながらの小さなアパートや一軒家が並んでいる。ブロック塀を歩く猫と目があったり、庭先に咲く秋の花や実の鮮やかさにはっとする。室内ばかりの仕事に追われる週を過ごして、久しぶりに日中の外界に触れれば、こんな都会の中にも驚くほど小さな自然が変化をしているものだ。
池尻大橋の駅から世田谷公園にぬけるまでの道にはそんな楽しみがある。そして足を運ぶ世田谷ものづくり学校の庭をちょっぴりのぞくのも楽しみのひとつだ。玄関先の2、3段のステップをのぼった踊り場は、花壇でもないのに淡いピンクのかわいらしい小花が群生している。かがみ込んで、その淡い色彩の絨毯をながめていると、やがて見えなかったものが見えてくる。小さな生き物たちがその群生の中でやさしく儚い生命をいとなんでいる。ふわふわと浮遊するような白い羽の虫たち、小さなシジミ蝶。名を知る虫も知らぬ虫も夕方の薄い光の中でうごめきあっている。「ふう」このいとおしい時間にため息まじりの深呼吸ひとつ。
邪魔をしないようにそっと立つと、わたしは玄関の向こう側の小さな菜園も見に行った。大きな木の上で鳥が鳴いている。ここでも深呼吸。多い茂った雑草の中に夏の暑い日、林さんと見た大根がまだ植わったままだった。枯れたハマナスの木に橙色の実がついている。下から見上げてみると空の青と白い鰯雲にむかって実が複雑に絡んでいるように思えた。ふとその先に視線を向ければ、藍の花が咲き乱れている。ここにも虫たちがまるで春の夢を見ているかのごとく花から花へと舞っているのだった。
ほんの額ほどの土地から沸き立つ生命の光景はかえってかけがえもなく広大なはらっぱを幻想という中に映しだす。いとおしいこの時間よ、ずっとこのままでと。

posted: mitsubako at <22:19PM>