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2005年12月20日

哀しい詩(うた)

悲しい詩を投稿してみないかといわれた
くりかえしの生活の営みのなかで小さな悲しみはいくつもある

1991年のことだった。花屋の店頭に真っ白な水仙があってジョンにこれを届けようとすぐに思った。1本だけ裸でもらってそのままバスでヘイトに向かった。通りから何本目かの道、ペンキで塗られた色のビクトリアンハウスが並ぶ。階段を上がって、ひと呼吸してから呼び鈴を押した。1回…2回。何回目かわからなくなってから黒い服と帽子をまとったジョンが白い顔をして戸を開けた。
「わたし、わたしだよ」。
「ああ、きみだったのか」。
具合のことを聞く勇気は出なかった。枯れきった体と透きとおった手を見れば、病に蝕まれていることは直感できた。
「あの、これ好きでしょ」。
「ねぇ、もうよくは見えないんだ」。
「白い花」。
「白い花…」。確かにそのうつろな視線は花を見つめてはいるけれど 笑みひとつ浮かべられない死の影がよぎる面持ちだった。冷たい白い手をぎゅっと握った。
「じゃあ、また」。

帰り道、わたしは泣きたかったから歩くことにした。白はジョンが好む清潔感のある花だと思ってもっていった自分が情けなくて、どうしようもなくて、ただただ泣いた。

この話の投稿はやめにした。悲しい詩にはならないからだ。その数日後、哀しい詩(うた)となって心に記録されたからだ。
そうして、同居人でジョンを最期までみとったダッグはキブツへ行くことを決めた日だった。

posted: mitsubako at <07:38AM>