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2005年11月28日

逗子

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逗子、鎌倉、北鎌倉といった湘南地方は本当に小さいころから馴染んだ土地だった。満州から引き揚げた母方の祖父は北鎌倉の円覚寺の裏山にウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計で一軒の家をかまえた。南側が開いていて、太陽が射し込み、芭蕉が揺れるいい木の家だった。
母は満州生まれの北鎌倉育ちだったから今ほど観光地化していない時代の古き鎌倉を知る人だ。今はもうすっかり変わりはてた鎌倉にはあまり足を運ぶこともなくなった。北鎌倉の家もいつの日かとり壊されていて、空き地になったところを訪ねた母の残念そうな表情は今でも覚えている。それでも、彼女の記憶の中にイメージとしていつまでも残っているその場所を語る顔には喜びがあった。
わたしは、それほど遠くない小さな旅にこの頃は逗子を選ぶ。以前なら車を走らせて、片道3時間ぐらいのドライブで山村へ出かけていくのもよかったけれど、この頃は、もっと近場でたっぷりとその場を散策するのが一番のリフレッシュだったりする。自転車が一緒だとなおさらご機嫌だ。
逗子の蘆花記念公園からのんびり郷土資料館まで散歩をして、閑散とした庭で半日をぼんやり過ごし、夕方、夕日の浜辺へ降りるというのがお気に入りだったりする。
郷土資料館は大正元年に建てられた徳川家の元貴族議員の別荘だ。木造の平屋で広い縁側からは逗子海岸が見渡せる。木枠のガラス戸に囲まれた廊下からは中庭が歩くたびにちがった風情を見せ、こと秋の光と木々の紅葉に囲まれた周囲の山は気持ちを落ちつかせてくれる。日本の家屋は窓の木枠や、すりガラス、ちょっとした隙間が微妙に光りの射し込み具合を陰と陽にわける。時間の経過と共に光の遊びを感じて、住まうとはそうしたことに慣れ親しみ、愛でることなのではないかと考えたりする。
この他にも小さな山道コースがいくつかあって、逗子・横須賀の自然を楽しませてくれる。1度や2度でその良さはわからない。四季折々に足を運ぶごとに愛着とちょっと不便に魅力を発揮している土地柄が見えてくる。

posted: mitsubako at <07:10AM>