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2005年11月15日

『光太郎智恵子』

R0010045.jpg光太郎智恵子はたぐひなき夢をきづきてむかし此所に住みにき

静かな、落ちついた時間の流れの中でどっぷりと読書の世界にふけることはまるできていないけれど、それでも秋になると体の底の方から夢中になれるエネルギーがわいてきて本を手にしている。
光太郎をめぐる周りの方々との書簡が集められたこの本は生きているなかでかかわり続ける人への想いが見えてくる。思いやりだったり、葛藤だったり、哀しみだったり、
安堵だったり…。その人が生きた時代が見えてきたりもする。以前に書いたことのある、わたしの祖父の手紙のことを思い浮かべながら少しずつ、手紙ぐらいの速度で、わたし宛にいただいた気持ちで読んでいった。

昭和11年12月12日 光太郎作
穴ずまひ
おれの貧はへんな貧だ。
有る時は第一等の料理をくひ、
無い時は幾日でも菜っぱに芋粥。
とれる腕はありながらちっとも取れず、
怠けずにやればやる程くひこみ、
たのまれた仕事はもとを切る、
あるものは人にやってしまひ、
なくなれば飯も炊かない。
子供は無いし、妻は病院、
けつく自分一人の穴ずまひだが、
第一等と最下等と、此の二つが
おれの生活にはちゃんぽんに来る。

posted: mitsubako at <07:37AM>