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2005年11月02日
born into this
BUKOWSKI: OLD PUNKを見た。
『亀も空を飛ぶ』を見たときの予告で、見ておきたいなと思ったからだ。
ものすごく彼が好きなわけではないけれどシンプルな言葉に魅力があると思っていた。
サンフランシスコにいた頃のことがフィルムのシーンと二重写しになって、どうでもいい妙なところでぐっときたりしていた。
東海岸から渡って来た、ロブはいい声をしていた。MISHIMA文学が好きな彼は、少し日本人びいきでヘタな会話に付き合ってくれた。メガネをかけたボブは典型的な理論好きのアメリカンボーイ。このふたりがなぜかあるお店で夜に開くreadingの会にさそってくれた。「行きたいけど、わたしじゃ朗読が理解できないと思う。」とこたえると「そんなことはどうだっていいんだ。僕らの空気を味わえよ。サンフランシスコなんだから。」
当時、若者たちは、ボロボロの服を着て、未来の詩人や文学を夢みて閉店後の店を借りて人を集めて自分の作品を発表していた。いまなら、この一見どこか退廃したムードの中でアングラっぽく声をあげる若者たちのやっていたことが理解できる気がする。
敬虔な信者じゃないけれど、ジューイッシュであることを誇りにしているダグはフィルムメイキングを目指していた。「その青いタートルで、こんばんシーンをみんなで撮るから来てくれないか…。」わたしはいつのまにかこういう空気の中にのまれていっていろんな活動や行動をした。毎日がアクティブなアートだったし、幸せだった。
メインストリームで名声をあげることが目的ではない。自分の今ある場で今の自分を表現すること。何かを待っていないで、思うこと、考えることを自分からつくりだすこと。そういう精神に目覚めさせてくれたのがこの仲間たちだった。nice buddy!
BUKOWSKIの詩はまさにライブなサンフランシスコで味わったことを、アイロニーとか鋭さとか、ばかっぽさとかで吹き飛ばす力がある。情けないくらいの気持ちにさせる。長年続けた郵便局員、息子と父、ドイツ系の血…作品のあちこちに戒律と十字架が見える。
死をもって初めて昇華したことばは多くはなくていい。
ミニチュアールのあのことばの1冊さえあればそれでいいじゃないか……。
このままそっとしておきたい詩人だと思った。
posted: mitsubako at <07:31AM>