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2005年09月15日
アズールと錆び
ほかのなにかに、いく度か繰り返し書いたことのある原風景。
なん度となく、人とデジャブだねと語り合ったことのある風景。
誰しもの心の中に静かに、熱く映しだされているだろう。
原風景がいくつもあるなら原風景ではないかもしれない。
でも、その究極中の究極があるとするならば、それがパタゴニアという大地だ。
あるとき、アズールが赤茶けて錆びたバルパライソの街影の写真を目にした。ボルヘスに想起された風景だという。ボルヘスを知らずとも、そこに流れる時間軸の世界に埋没されてしまいそうな哀しさがある。ホルヘ・ルイス・ボルヘス(Jorge Luis Borges、1899- 1986)。奇異な作品を数々残した詩人ボルヘスは英語、スペイン語、ラテン語、ドイツ語...多言語にたけた人であった。そのバックグラウンドにジュネーブ時代があることを最近知った。ラテンというイメージが強烈だったが、実は彼のアイデンティティを特定するのは難しい。作品の中で、もっとも代表的とされる『伝奇集』をわたしはまだ読んだことがない。急にバルパライソを見て「円環の廃墟」を読んでみたくなった。
その日、夜遅くに書店に向かった。店頭にはなぜかボルヘスのコーナーが設置されていて、彼の講義集だとかが前面に売り出されていた。肝心の欲しい本はどこにもなかった。
テキストと写真の関係は循環する。テキストから被写体となるモチーフが生まれたかと思えば、被写体からテキストを探し求める行為が生まれたりする。見え隠れする隠喩がさまざまな言語のゆらぎの中で新しい解釈へと蘇生する。
posted: mitsubako at <07:41AM>