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2005年02月06日

ヨゼフ・ボイスからのはがき

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ヨーゼフ・ボイスは20世紀を代表する芸術家のひとりと言っても過言ではない。
そのアクティブな精神は、現代美術という領域を越えて社会や環境にも大きな刺激を与えた。

「草の根っこ」というカテゴリーを少し前から追加した。これは、私が影響を受けた人や作品について、少しばかりここに記しておこうと思うからだ。養蜂という世界とはまったく無縁と思われるようなところで生きて来たのに、なぜそんなにそのことが、私の中で今大事なのかということをランダムにでもいい、書きとめておきたい。これからどういう方向に、どんな風に歩もうか、反復しながら考えて行きたいからだ。そうでもしないと、ただ、時ばかり過ぎて、終わってしまう。この頃そんな気持ちに無性にかられる。“何かを残したい”というのでは決してないのだけれど、日々の生活の小さな営みの中に、ただ、そうした気持ちを持ち続けて生きていきたいからだ。

ボイスは1921年にドイツで生まれた。戦時中は空軍のパイロットに入隊をし、戦後デュッセルドルフの美術学校で彫刻を学んだ。美術の枠を越えた自由国際大学、社会彫刻といった活動を展開。1986年デュッセルドルフにて没。
彼の作品には兎、コヨーテ、脂肪、蜜蝋、銅、フェルトといったものが繰り返しもちいられる。戦争中に体験した出来事に象徴される物質であったと自ら語ったモノたちだ。

ボイスのアクションの中から…
1965/死んだウサギに絵を説明するには
ボイスのトレードマークのフェルト帽を脱ぎ、漁師のベストにジーンズ姿で死んだ兎を抱きかかえて、ギャラリー内に腰しかけた。

1974/コヨーテ 私はアメリカが好き、アメリカも私が好き
ボイスは、アメリカの空港に到着すると、直ちにフェルトに包まれて、ギャラリーに運ばれた。そしてギャラリーの一室で、1匹のコヨーテと3日間共同生活をした。

1982/7000本の樫の木プロジェクト
ドクメンタ7の開催から5年間に渡り、カッセル市内に7000本の樫の木を植えるプロジェクト。苗木にそえて、柱状の玄武岩をランダムに配置した。多くの市民を巻き込んで行われた。樫の木は、バスク地方ゲルニカの聖樹でもある。

美術館や画廊というある特定の作品を人に鑑賞してもらうスタイルをとらない作品展開が私は全般に好きだ。ボイスやタレル、まだこの他にもこうした活動をした作家はたくさんいる。
ボイスが私たちに投げかけたスピリットは、芸術とは、もはや誰か特別な人が特別な才能を見せるための行為ではない。誰もが芸術家であるということだ。必ずしも、絵画や彫刻といった形式をとらないところにも作品は生まれてくる。たとえば、料理を作る中にも、土に触れて作物を育てる中にも、みつばちを飼う中にも、オフロードバイクで砂漠を駆け抜ける中にも、トラックで巡回をする古本屋の中にも……。

それじゃあ、私がただ、郵便局に行くのに自転車が必要でそれに乗るのも芸術かというと、それは違う。その境目とはなんだろう。ある瞬間から芸術になる「それ」を私は探している。これは、難しいことではないような気がするけれど、あまり意識的にでもなく、かといって無意識ではないところで誕生しているような気がする。
ビオファームのまつきさんが、1/31日の農人日記「Aさんのこと」に、それに近いことを書いているように思う。彼は、代々受け継がれてきた農人のDNAと表現していた。ただ、それは生まれたときから運命ずけられていると考えると希望がない。人はいつでも生まれ変われる力を自然から与えられるとおもえば少しは希望の光が見えてくる。
ボイスが、影響を受けた人にルドルフ・シュタイナーがいる。シュタイナーが提唱した教育は、幼少期から遊ぶ素材に本物に触れさせる。あまりに純粋性を求めすぎて、そこに排除してしまうものがあるような気もするが、この教育でおもしろいのは、教科書がないことだ。学校で授業を受けたときに自分で自分のノート(教科書)を作っていく過程だ。
みつばちのことを考察するには、誰から、何を、どういう風に勉強すれば学べるという道筋はない。昆虫学として学ぶのならまだしも、養蜂を学ぶには、家が代々養蜂家なら話は別だけど、そうでない場合はほとんど、本とか自分で飼いながら知って究めていくほかないだろう。自分で自らのノートを作っていくしか、これといった道筋はない。
今日書いたことが、ボイスから送られたはがきに込められたメッセージだと自分に言いたい。思わせたい。

*写真のはがきは、もちろんボイスから送られたものではない。ギャラリー360°で、ボイスの精神を忘れないようにと以前に自分に買ったものだ。
ボイスの活動については、私のことばでは伝えきれない。たくさんの書籍に記されているのでそちらを是非お読みいただきたい。

posted: mitsubako at <14:17PM>