« 蜂のこと その14 | « Go to main page | 蜂のこと その16 »
2004年11月26日
蜂のこと その15
●アントン・ヤンシャ、蜂の種類

ところで、このスロベニアには、巣門飾りと時を同じくして、偉大な養蜂指導者の活躍があります。この人がアントン・ヤンシャ(Anton Jansa/1734-1773)です。
ヤンシャの本は日本語に翻訳されてないんだろうなぁ。いつか読んでみたいと思います。このヤンシャは青年期に蜂を飼っていました。やがて画家を志望してウィーンへ行き優秀な成績で美術学校を卒業しました。ところが、あのマリア・テレジアに命を受けてウィーン市内に設立された養蜂学校の初代養蜂指導者に任命されたのでした。ヤンシャは雄蜂の生態に関して、女王蜂と分封の関係や腐蛆病にかかった蜂群の治癒など実践と理論をもって「養蜂家の父」といえる名声を博したそうです。
西洋ミツバチにも種類があります。イタリアンとかコーカシアンとか種があるのです。少し、養蜂の世界に入りこむと「カーニオラン」というのはよく耳にします。このカーニオランの故郷はなんとスロベニアなんだそうです。腹部に緑に光る灰色の毛があって「灰色熊のカーニオラン」とスロベニアの養蜂家たちの間で愛称があるほどだそうです。きっとそれほどまでに愛らしい種なのだろうと思います。私が見学させていただいている養蜂家のみつばちはイタリアン種です。岩手で見せていただいた横沢さんのところのはコーカシアンなのでしょうか。たぶん種類が違うように見えたのですが。
カーニオランは従順、勤勉、穏和、すぐれた帰巣・定位能力を持つ性質なのだそうです。すごいな。表記は違うけどスロベニアの伝統的な巣箱と同じ名称なんだなとも思いました。


日本の伝統的な山蜂の養蜂もおもしろいけれど、世界にはまだきっと知らない場所でいろんなみつばちと人間の付き合い方があるんだろうと思います。そしてその背後にはこの小さな生き物の生態から見えてくるその土地々の自然に気づかされ謙虚に生きている人々がいることに喜びと共感を持たずにはいられないのです。
ところで、今年のApimondia2005(国際養蜂会議)はアイルランドで開催されるそうです。アイルランドというと、またちょっと胸がわくわくします。ケルトの源流はもちろんですが、ここは17世紀後半から19世紀カトリック修道士たちの安住の地となった場でもあります。スケリッグ・マイケル(聖マイケルの岩)はアイルランド最古の初期キリスト教修道院跡で有名な場所です。蜂の巣型僧坊という庵のようなものがいくつも作られているのです。
信州の長坂にある清春芸術村のラ・リューシュ、蜂の巣型のアトリエはずっと建築要素の高いものですが、この修道士たちの巣庵はよりプリミティブに近い感じがしてとても興味があります。人はずいぶんと長い間蜂に教えられて模倣をしてきたものがあるのだなぁと思ったりするのです。この話しはまた、少しづつ書いてみたいと思います。
資料提供:玉川大学ミツバチ科学研究施設
『ミツバチ科学(HONEYBEE SCIENCE)』2002 VOL.23 No.3 p123-126、スロベニアの養蜂 Franc Sivic
カタログ:LIVING WITH BEES / Franc Sivic
*写真はFranc Sivicさん撮影の本からです。巣箱を移動させるトラックは魅力的です。
posted: mitsubako at <23:02PM>