Brooklyn Navy Yard Farm

|

_DSC2749s.jpg

_DSC2752s.jpg

Brooklyn GrangeにかかわっているTimに、Brooklyn Navy Yard Farmを案内してもらった。Brooklyn Navy Yardへ到着するまで、随分迷子になった。曲がり角を一箇所まちがえたまま、歩いて歩いて、あまりの遠さに道をやっと間違えたことに気がついた。約束の時間を過ぎ、Timに連絡をして結局、迷った場所まで迎えに来てもらった。そんなことがあったから余計にBrooklyn Navy Yardは印象深い場所になった。日本を出発する間際は忙しく勉強不足で、帰って来てからこの場所について知ることになった。
Brooklyn Navy Yardはブルックリン海軍工廠(かいぐんこうしょう)がニューヨーク州に売却した土地だ。その歴史は意外に古く1801年で、南北戦争から第二次世界大戦へと戦争景気に雇用を生み出し拡張されていった工廠だ。しかし造船の材料に長く石綿を使用してきたことで、労働者側と供給企業の間で健康訴訟問題が起こり、1966年に工廠は解役した。現在は民営化された産業施設としてさまざまなビジネスの拠点となっている。
イーストリバーの川のたもとには約30箱近い蜂箱が置かれ、Brooklyn Grangeの養蜂所として活用している。Timはここでトップバー様式の蜂箱で養蜂をしているみつばちを披露してくれた。トップバーは通常のラングストロスの長方形の蜂箱の巣枠と比べると枠は上だけになる。上の木枠から重力の法則にのっとって有機的な形の自然巣がぶらさがっているような感じだ。Timはこの様式だとみつばちがより自由に自然な状態で巣を作れるので、ストレスも少なくみつばちも落ち着いているという。それが自然科学的に証明されているかどうかは別として、確かに Timのみつばちはおとなしかった。手のひらにみつばちをごっそりとのせてくれた。みつばちは意外に冷たいと思った。巣のどの部分に卵があって、幼虫がいて、蜜が貯蔵されているか説明してくれた。「この蜂群はとても健康なんだ」と何度も言い、新鮮な花粉や蜜をほんのちょっと味わせてくれた。フレッシュな花粉は初めてで、粉っぽい複雑な食感に驚いた。巣のふたを破って、今、生まれたばかりのみつばちも見せてくれた。実に感動的な瞬間だった。
もし、多量の採蜜が目的ならトップバー様式の蜂箱は向かないけれど、みつばちをそばに置く暮らしが目的ならば、まるで揺りかごか舟形のようなこの箱はとてもかわいらしいし、みつばちにとって快適ならば、なによりだと思った。これから少し巣箱の研究をして、最終的に初めて飼う時の巣箱の様式を考えようと思う。ひとしきりみつばちに触れる時間を過ごしてから、屋上の菜園に上がった。
_DSC2764s.jpg
トップバー様式の蜂箱

Navy Yardの農園は、1番目のBrooklyn Grangeに比べるとさらに広く6045平方メートルになる。この広大な農園のグリーンと対比して近景でけむりを出している工場の煙突やマンハッタンのビル群は不協和音を奏でているのに不思議と強く感銘を受けた。都市の新しい景勝地が見事にここにあると感じたからだ。30代初めぐらいの若者たちが、表情豊かに機敏に働く姿は美しい。具現化できる未来像をことばとして持っている彼らは、使命感と自信に満ちていると思う。わたしが数十年前に1年半ほど住んだサンフランシスコはブッシュ政権のもとで退廃と失意に迷走する若者の印象が強く残っていた。あの時期を見事に乗り越えた種が、今、新芽を伸ばして都市のコミュニティの在り方を模索している。日本の東北にもきっとそうした種が、自力で20年後、30年後に力強く育ってくれるはずだと希望が沸き、そう願いたいと思う。

_DSC2776s.jpg

写真のアルバムをアップしました。