Brooklyn Homesteaderだけどニュージャージー州のAtlantic Highlands

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今回の旅の最大の目的のひとつにMegan Paskaさんと会うことを考えていた。 彼女はわたしの友人のKellyの家の近所に7月まで住んでいて"Brooklyn Homesteader"を主宰し、家の裏庭で蜂やにわとりを飼い、菜園を持つ暮らしをしていた。Kellyと親しくなってから、挿絵がすてきな Meganのblogで活動を読むようになった。Megan Paskaはボルチモア出身だ。ボルチモアは地名の響きに惹かれ、行きたい場所の一つだ。こんな小さな偶然も彼女に関心を抱いた理由なのかもしれない。Meganはメリーランド州で園芸を始めた。祖母や母親も菜園を持っていたし、家族は ヴァージニア州の郊外に450エーカーの農場を経営していた。Meganは夏になるとチコリやレタス摘みに小道や渓谷を歩き回り、農場や農業に自ずと慣れ親しむ環境で育った。2006年にニューヨークに拠点を移すと、家を借りた大家さんが、たまたま土いじりに熱心で、庭の菜園を広げるために古くなったプールを壊し、いわゆる「裏庭菜園」が整っていった。そこで養蜂や養鶏の他に食用のウサギの飼育をするようになった。収穫した野菜からピクルスや自家製ビール酵母も育て持続可能な自給自足生活に近づいていった。2012年の夏、Meganはマンハッタンからフェリーで約1時間ほどかかる、ニュージャージー州のAtlantic Highlandsに広大な土地を得て活動を広げることになった。彼女が引越しをして、飼っている動物達の飼育小屋もまだ完成していない時期に、無理を承知で私は新しい農場を訪ねることにした。
彼女の農場に向かった日は、まるで嵐のような風と雨の日だった。マンハッタンのフェリーポートでフェリーを待っている時は斜めにさすような雨が降っていたし、出港するとフェリーは荒波で揺れに揺れた。Atlantic Highlandsに到着する頃には雨はやんだが、時折突風のような風が激しく吹く荒々しい天候だった。Meganはさっそうと水色のトラックで船着場まで迎えに来てくれた。Atlantic Highlandsは海辺に面した家々が美しく、敷地も広い邸宅が並ぶ。比較的、中流層が住居を構える地域のような気がした。やがて、小さな町の中心を離れて、木々が茂る林にやって来た。日本だと軽井沢のような完全な避暑地と言える場所だ。「この辺は別荘とかなの?」と聞くと「普通に人が暮らす家よ」とMeganは言う。10分もしないうちに彼女とボーイフレンドの平屋の家に到着した。敷地内に到着してから尚も林の私道を車で通り抜けていくこの広さに、わたしはすっかり驚いてしまった。Meganはトラックを降りるとすぐに家や敷地の案内をざっとしてくれて、「この後、動物達に餌をやるけど、ここで自由に写真を撮ってもいいし、餌やりを助けてくれてもいいし、好きにして!」と言った。この気さくな感じがわたしをとても気楽にしてくれた。
彼女の敷地の中心にはビオトープのような池があって、林のそばに数箱の蜂箱が置かれていた。みつばちが最近、アシナガバチに教われるので入口を狭くするために、とりあえず干し草を詰めてあった。林を下ると海面に面していて、プライベートの小さな桟橋がある。「魚釣りもできるのよ!」と海から吹き付ける強風に向かいながらMeganは言った。「木々の葉があんなに激しい音をたたてる!」とむしろ喜びの表情で彼女はこの気まぐれな空模様を見上げていた。「今日はもっと風が強くなるらしいから、後で動物たちのカゴや柵をしっかり固定させるの手伝ってね」と言われた。果樹や草花が雑然とした小さな菜園に入って、昼食に食べるカブ、マスタードの葉、レタス、トマトなどを収穫した。キッチンで「今」収穫したばかりの野菜を洗ったり、新鮮な美しい野菜をお互いに撮影しながら、わたしたちは料理の話に夢中になった。わたしはゴマ油で菜っ葉を炒めた。彼女は日本の簡素な味付けの家庭料理も好きで、味噌汁や炒め物、おひたしのようなものもよく知っていた。調味料も醤油やごま油などは普通にとりそろえていた。わたしたちはサラダに朝産んだ玉子をミディアムぐらいの堅さの目玉焼きにして、ローストしたカボチャとひまわりの種のトッピングを上にのせた。それからハーブを摘んで来て、ぱらぱらと全体にふってサラダは完成。食材が新鮮だと、もうそれだけでおいしいから味付けは簡素でいい。ボールいっぱいの野菜を二人ですっかりたいらげた。ボーイフレンドの ニールの事や、震災後の日本、HK HONEYのマイケルのところを訪ねた話など、わたしたちは尽きることなくおしゃべりをした。Meganはアメリカの大規模農場について批判的だった。自然環境をできる限り荒らさずに、菜園を持続可能に維持していくなら、一種類の野菜だけを広大な面積に作付けする方法は馬鹿げていると言った。土地そのものも痩せるし、害虫が発生しやすいし、そのために農薬散布をしたり、薬品が多く含まれた肥料を与えなければならなくなる。小規模なコミュニティで菜園だけでなく、養蜂や養鶏などを営むこと、マイケルが勉強しているパーマカルチャーと同じ発想で持続的に自然と共生する暮らし向きを彼女自身が表現者としてここで活動を始めている。
赤毛でチャーミングなみつばちのタトゥーがシンボルマークのMeganはその身体すべてが彼女自身であり愛情と行動力に満ちた女性で、わたしは彼女の事が大好きになった。
ハリケーンサンディで被害を受け、10日近く電力のない暮らしだったMeganはとても力強い女性だとはわかっていながらも、毎日彼女のことが心配でたまらなかった。きっと、新しい土地の気候や条件に慣れて、今の何倍もノウハウを蓄積して彼女は充実した農園を築いていくと信じている。

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彼女の農園のアルバムです。