霧の但馬 その2 「ハチだけの仕事」の上垣さん

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わたしはみつばちをまだ飼ったことがない。いつか必ず......と、ゆっくり準備や心づもりをしているうちに10年近い年月が立った。今年の冬あたりはどうかと漠然と考えていた矢先に震災が起きた。そして福島原子力発電所の事故はわたしの小さな夢も奪っていった。3月の下旬、この地ではもうみつばちは飼えないかもしれないと落胆した。みつばちは花の蜜源を求めて飛んで行く。花は変わらず咲きはするけれど、放射能を浴びた花の蜜をなにも知らずにせっせと巣へ運ぶみつばちたちを喜んで見ていられるだろうか。そんなことを毎日考えて悲しくなっていた。もしかしたら、採蜜を目的としなければ飼えるかもしれない。しばらくは状況判断が必要だろうと思っている。10年思い続けてきた夢をそんなに簡単にあきらめるほど潔い方ではない。よい形でよい時に飼える日がやって来るはずと信じている。きっと必ず!
そんな思いを巡らしているさなか、但馬のみつばちツアーが実現した。麦畑自然農場を運営されている上垣さんのことは「霧の但馬 その1」でも書いた。養鶏だけでなく、西洋みつばちの養蜂も農業の傍らでやられている。これだけの技があれば、どんな所でも生きていける。上垣さんは自信があるとおっしゃった。自分たちの食べるものは自分で作れということだと思う。
さて、上垣さんの採蜜したはちみつには「ハチだけの仕事」というラベルがビンに貼られている。なんの混在物もない、みつばちたちが集めた蜜だけのはちみつという意がこの一枚のラベルにこめられている。世の中の市場にどれだけみつばちが集めた蜜だけの「はちみつ」が存在するだろうか。わたしが時々お世話になっている養蜂家のはちみつを初めて口にした日のことを思い出す。その時から、みつばちだけでなく、みつばちが生み出す成果物にも関心が湧くようになった。みつばちが何百往復もしてやっとスプーン一杯のはちみつが採れることを知って、理にかなった貴重な技に神秘と畏敬の念を抱かざるをえなくなった。みつばちの生態を深く知れば知るほど、システム化された社会と合理的な巣の構造や環境に魅了されていく。そこには究極の美があるとわたしは思っている。一度この世界に虜になった人は知恵の実ならず、ある種のユートピアの幻想を追うことになる。その日から「夢追い人」になるのだ。今日、出会っただけなのに、みつばちと養蜂を介して、同じ深度と共感を分かち合えるからみつばちとは不思議な存在だ。
昼食中は無口な男子と思っていた上垣さんの長男河大くんが、3時のおやつにと出してくれたデザートは絶品だった。かぼちゃプリンとシフォンケーキ。もちろん玉子はあの鶏たちからの贈り物。やるなー、上垣家!
冬の休みに入ったら、上垣さんの玉子でわたしもレモンシフォンケーキとはちみつでパンデピスでも焼いてみようかなとひそかにレシピをながめている。
「ハチだけの仕事」はみつばちが細菌によってかかりやすいアメリカ腐蛆病に、まずかかりにくい健康なみつばちを育てることに専念されています。感染予防のために抗生物質などをみつばちのえさに混入させないオーガニックなはちみつです。

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