「山口薫」展

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山口薫の生誕100年を記念して、巡回展が開催されている。夏の終りに、生まれ故郷の群馬にある群馬県立近代美術館からはじまり、秋から冬にかけては東京の世田谷美術館で開催されている。山口の作品は京都の何必館で目にしてから、しばらく心の片隅にそっとおきざりにされていた。ある時、山本淑子さんから白いはがきをいただいた。裏を見ると「ある時ある日白い雨」と題した山口の作品だった。その頃わたしは、北園克衛の白い手紙を引用したイメージに樵っていた時期で、山口のはがきにぴんとくるものがあって、しばらく机の上に置いていた。

白い手紙
白い手紙
のなか
の白い雨は
白い孤独の白い雨である
北園克衛

山口の作品はどれも心を奪われるものばかりだった。赤のもつ深みと厚み。そうかと思えば、「孤独者のすまい」に象徴的に描かれた蜘蛛。「サラサラ粉雪ふる」「おぼろ月に輪舞する子供達」の淡さにはエレジーが漂う。具象と抽象のはざまをさまよい歩いたかのような絵画に、わたしは感情移入をして、繊細な感性に揺り動かされていく感覚を味わった。
多くを語るより見ることが一番の作品だと思う。
帰り道に清川泰次記念ギャラリーによった。こぢんまりした建物がとてもよかった。