星の牧場

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岩手で馬と暮らしている友人が引っ越しをして新たなスタートをするというメールをもらってからしばらく経った。どうしているかと思って、いったん休止しているはずのblogをのぞいてみたら新しくなっていた。そんな思いにさせてくれたのは、中学校の図書館の先生がすすめてくれて以来、心に残る一冊「星の牧場」を読み返したからだった。長新太の作品集をぱらぱら開いていて、ふと目にとまったのがブルーのツキスミという名前の馬の装丁の童話だった。この挿画が長さんだったのかとあらためて知ると、夜中だのにいてもたってもいられなくなって天井うらの本棚から「星の牧場」を見つけ出してきて読みはじめた。舞台は第二次世界大戦後。インドシナ半島に戦争で招集された青年兵が、世話係をした馬のツキスミと悲しい別れをして戦地から帰って来たところからはじまる。育った牧場に無事帰還はできたものの出征前とは大きく変わり、心に傷を受け「ツキスミの幻聴」が聴こえるようになったモミイチ。牧場生活で夢と現実のなかを往き来し、空想の世界でジプシーたちと音楽をかなで心あたたまる交流をしながら、最後にツキスミと星の牧場で再会をするお話。このお話のハチカイの存在がずっとわたしの中に知らないあいだに住み着いていたことがよくわかる。若い時に心をうごかされたファンタジーは人生に大きく影響をするものだとつくづく思う。自由とはなにか、平和とはなにか。誰かにそれを求めるのではなくてわたしがそう在ることが、この本を読んでいるとよくわかってくる。いとおしい命の尊さとか儚さはひとりで自然と対峙したときに霧の先に見えてくるんだと思う。