秋田雪見たび その3

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秋田のたびに出る数日前あたりから猪谷六合雄の『定本 雪に生きる』を読んでいた。ちょっとした小屋を見ると猪谷スタイルを思い浮かべ楽しくなった。二日目は早起きをして秋田市民市場をのぞいた。雪解けを待たずに摘んだ「ひろっこ」と呼ぶあさつきが春の緑を早々と知らせてくれていた。短い時間を市場で過ごしてからフリー切符を片手に田沢湖行きの列車に乗った。田沢湖駅からバスにゆられて40分、わたしは乳頭温泉郷にやって来た。雪は朝日にきらきらと輝いていて、どっちを向いても真白な風景にすっかりうかれ気分。それから孫六温泉に向かって約20分ほどの雪道を散策しながらゆっくりと登っていった。小さな木橋を渡って、小高い雪丘の向こうにひなびた湯治場が見えて来た瞬間、感嘆の声をあげた。見たいと思っていたものが、思っていた以上の条件下にこうして出会えたとは。深い雪の山奥でこうして温泉場を開いた人に畏敬の念が沸きおこってくる。
がらんとした湯治場の玄関で「こんにちは」と大きな声で何度も声をかける。やっと奥から老婆が出て来て、今はわたしたちしかいないので好きなようにどこでも入っていいよと告げられ、朝から温泉につかることになった。

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