小学校のまでの道

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朝ご飯を食べて、7時20分。あかねちゃんの通う附馬牛(つきもうし)小学校に歩いて行くことにした。それは昨日、車の中ですっかり仲良しになったあかねちゃんが「ねぇ、ねぇ、いつ帰るの?」って聞かれて、「明日」とこたえた。
「何時?」「3時の電車に乗って帰る」「じゃ、会えないや」。
わたしもこれだけだと後ろ髪をひかれる思いがしたので「じゃあ学校まで一緒に歩いて行こうかな」とさそってみた。そこで約束が成立。その翌朝、両脇に木がいっぱい茂る舗装道を下ってあかねちゃんとわたしは歩き出した。
「はい」大きな山椒の葉を一枚くれた。山の山椒のかおりはとてもしっかりしている。においをかぐと血のめぐりがよくなるのかわからないけれどすっきりしてくる。何度も鼻に葉をあてるわたしを見てこの少女はきゃっ、きゃっと笑う。
あかねちゃんはちょっとだけ遠回りして林の中にある鳥居を案内してくれた。いつも行く道で最大限のツアーだ。
すぐそばを流れる川の音を聞きながら、右や左へ歩く側を変えて単調なコースを行く。
「はちがいるよ」少女はわたしのはち好きをちゃんと知っている。里の肥えた土に立派に咲く芙蓉の中で一匹のハナバチの一種がせっせと花粉を集めている。
「これはね、ハナバチだね。毛がふさふさしてるでしょ。大きいけど優しいよ」「じゃあ、刺さないんだ」「いやがることをしなければね」。
それからしばらく行って、見たこともないようなグミの古木の前で近道に入った。あかねちゃんがグミの実を採って食べたのでまねした。赤くてすっぱくておいしい。わたしたちは笑顔。その真下の水田に誰にも食べられずに落ちて散らばる赤い実。大きな黒いおたまじゃくしの影がその上をすっと通る。
そして右に進んで行くと少し小高い民家の庭先にわたしが好きな雲の劇場がみつかった。「待って、写真撮ってくる」。
「見せてぇ」撮った写真をながめて「へー、上手に撮れたね」と褒めてくれた。
さて、緑の田圃が広がるところまで来ると「お父さんやお母さんはいつもここまでだけど」と言う。「ふーん、学校まで行ってもいい?」「いいよ。いいけど、友だちも一緒だよ。往復4km、大丈夫?」。
ツアーをしたためちょっぴり遅刻気味、待たせた友だちにごめんね。早足でそのあと川のそばを歩いて学校まで行った。校門の前であっさり「じゃあね」少女はそれからもうふり返りもせずまっすぐ学校の校舎へと向かって行った。
忘れたことがあった、途中で犬のいる家の犬に「ころちゃん」と声をかけていた。ほんとにころちゃんかどうかは知らないんだそうだ。白い孔雀を飼ってる家があった。この孔雀時々羽を大きく開くんだって。なんて楽しい片道2kmの通学路だろう。
ところで、ひとりの帰り道、郵便局とか、田圃とか、あちこちもっと寄り道をしてから、あまりに日射しが強かったので雨傘をさしさし、わたしは山の家に帰っていった。

Comments:

いいお散歩の話、ありがとう。
ああ、こういう話が聞きたかったんだって嬉しくなりました。
行間から、素敵な時間の匂いがしてきます :)

写真も、instant fav!

ありがとう。yamaさん
こうして、あのはがきを送ったのでした。

あかねちゃんと歩いていると少女って神秘的で、未知数でいいなって憧れました。

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