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赤土と石ころの振動が体を通りぬけていく
追い風に乗せられて走れば
空っぽの地平も時速21kmで蘇生する
 
 
it_is_me Portrait(2004.08-)
 
実はその昔、ある国の小さな美術学校で人物画科なるもののクラスを専攻してデッサンずくめの日々を送っていたことがある。「キミはデザインには向かない。線が有機的だから」と当時の先生に言われて、それがずっと心に残っていた。無機的なものが本来は好きで惹かれるのに、自分はまったく有機の中に取り囲まれていくし、目指すものとは真逆の方向に知らず知らずのうちに向かっているのが不思議だ。それから人物とかがなんだか苦手になってしまい、私が少なくとも撮る写真にはあまり人影とかはない。それでも、時々人を撮ることもある。理由はあんまりないが自然に撮りたくなるからだ。
2005年の5月、岩手の横沢集落へ行って、横沢隆雄さんという方を知ることになった。横沢さんは、アマチュアカメラマンとして、出身の集落を撮り続けているという。「家と人。」という岩手発の雑誌をこのことから知る機会があったのだが、そこに横沢隆雄さんの写真がいくつか掲載されていた。私は、この雑誌をすぐに取り寄せて、今手元で見ている。
いろいろな写真家の方々の人物写真をこれまでにいくつも見て来ているけれど、なぜかこれだけ心に打つものに出会ったのは初めてのような気がする。写真にはまったく詳しくない私が、静かだけれど、強いメッセージ性を感じたのはもしかしたらこれが初めてかもしれない。
それで、私も未熟ながら、気にはなりつつも、どうまとめて行ってよいやら途方に暮れていた人の横顔をここに、なんの一貫性もなくアップしてみていこうと考えた。そうしたらもしかすると、また何かがいつか見えてくるのではないかと思っている。これは、自分の行為としては非常に希なる思いつきだ。試行錯誤の過程をそのまま露出する、あからさまの未完成ページだ。

人と家。 人と家。

仰木
2005年2月滋賀県仰木集落
人影もなく、道に自信がなくなって農作業中に声をかけ親切に行き方を教えてくれた方。「私の田は、手作りの棚田でなく開墾してしまいました。」と恐縮そうに話すのが印象的だった。静かなやさしい方だった。

仰木
2004年8月奈良県吉野久助堂の店先
葛菓子を一つひとつ包む人

仰木
2005年2月滋賀県近江八幡
手こぎ舟で枯れ葦の水郷をこぐ舟頭

仰木
2005年5月千葉県大六海岸
地引き網を先導してくれた漁師

仰木
2005年5月千葉県大六海岸
引き終わった重い網を片付ける漁師

仰木
2005年1月神奈川県葉山
夕日を見届ける人

仰木
2004年8月和歌山県熊野
からすの木彫り杖を路上販売する人

仰木
2004年11月神奈川県鎌倉
台峰ウォークで熱く生態を知らせる人

仰木
2005年11月神奈川県横須賀
尊敬する養蜂家

仰木
2004年8月和歌山県白浜
敬愛する南方熊楠


**「家と人。」リヴァープレス社
バックナンバーや購入の方法はサイトをご覧になるといい。横沢隆雄さんの掲載された号は10号である。いつか横沢さんの写真をもっと見せて頂ける機会があればと思っている。

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