美術館の中庭で友を想う

ボーンホルム美術館のカフェから中庭に出た。そこには鉄のオブジェが何本も立ちならんでいて、ずっと見ていると墓場にきたような気がした。わたしはこの場所がとても気に入った。わたしには何年も親しくしていた現代美術家の友人がいた。毛むくじゃらの熊のような風貌で、繊細さと無邪気な子どものような心を持った作家だった。その友人が2000年の春に43歳の生涯を終えた。病は若い身体を急速に蝕んで行った。この錆びた鉄は頑強そうでありながら、脆く崩れ去ったその体を想い起こさせる。時が流れても、友の死を素直に受け入れることは難しい。ここにきてやっと1人で追悼する気持ちになった。
コペンハーゲンから2時間あまりのシェラン島にギレライエというところがある。海をのぞむ丘にキルケゴールの記念碑が建てられている。

真理とは、イデーのための生ではなくて何であろう
ギレライエ・キルケゴール、1835, August 1st