白い円筒教会

ボーンホルム島の歴史はデンマークの中でも異色だ。それはバルト海に浮かぶ島の位置に関係しており、略奪戦を繰り返すたびに帰属国が変わる複雑な情勢が物語っている。
およそ1億3千年前のボーンホルム島は、大型の鳥類が駈け回っているような時代だった。やがて1万年前に初めて人間がこの島へ渡って来る。ヨーロッパ各地を海賊が荒らしまわっていた時代、この島も決してその例外ではなかった。丘の要塞は当時の島の農民たちが海賊を逃れて避難する場所として築いたといわれている。
分厚い白壁の丸い円筒形のエスターラース教会は800年の歴史を持つ。この円筒教会は外敵から守るため、あるいは戦い時の食料倉庫などに利用されていた。内部には弾薬を投下できる小窓があったり見張り窓などもあって、教会という神聖な場とは少し違った空気が流れていた。
1658年のスウェーデン戦争下で、ボーンホルム島はスウェーデンの帰属に従わず、この教会からもおそらく銃撃戦を決行してデンマークに返還した。第2次世界大戦末期の1945年には、RonnoとNexoの街が爆撃にあいロシア軍に占領される。この占領は終戦を迎えるまでの約11ヶ月にまでおよんだ。戦後はスウェーデンの援助によりこの二つの街の再建が始まり、300軒余りのスウェーデン式木造住宅が建ち並んだ。第2次世界大戦後もボーンホルム島は冷戦下でNATO加盟国との間に緊迫した関係がもたらされていた。
様々な歴史的惨事の末、ボーンホルム島はデンマークを帰属国とすることになる。この小さな島はデンマーク存命を願いつつも、独自の独立運動も盛んで、家々のところどころに掲げられている赤地に緑の十字の旗がこの島の国旗だといわれている。

cemetory.jpg