アルネ・ヤコブセン 100 ar

わたしがコペンハーゲンを訪れた夏は建築家でありデザイナーでもあるアルネ・ヤコブセンの生誕100年のイベントが開催されていた。1902年にユダヤ人の家系に生まれたヤコブセンの「スワンチェア」、「エッグチェア」は目にしたことのある人も多いことだろう。建築物は容易に実際を見ることは難しい。ミース・ファン・デル・ローエに大きく影響を受けたといわれる、ヤコブセン建築をこの旅でいくつも見ることができた。ラディソンSASロイヤルホテル、テキサコのガソリンスタンド、ベラヴィスタ集合住宅、ベルビューシアター、スラレド市庁舎、デンマーク国立銀行。かなりかけ足ではあったが、友だちが車ですべてを回ってくれた。この親切は忘れられない。デンマークの古くからの民家は自然のままの太い木を柱に、壁はペンキで橙や黄、青や緑に塗られ、煉瓦色の屋根が印象的である。古い民家の美しさは、暮らしていた人の生き様や工夫が見えて楽しいものだが、そうした牧歌的、あるいは民族に由来する美ではなく、スタンダードにミニマムにデザインをしていったものの美しさもこの小さな島国には共存している。モダニズム建築の様式を取り入れた白い箱形の建築物は、やはり普遍的な美しさを圧倒的に感じずにはいられなくなるのだった。
途中、男性のペンネーム、アイザック・ディーネセン、カレン・ブリクセンの家の前も通過した。「あそこはカレン・ブリクセン邸だよ」と教えてくれた友だちの説明を聞いて、一時期、愛読した「アフリカの日々」の作者もこの国から生まれた人だったのだと、ふいに思い出した。

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